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Hossi-Yさんのアメリカン・ポルノ感想文
03

十四本目:女のオブジェ・巴里のダッチワイフ(推薦)

あらすじ:性的不能の作家の妄想を映像で綴っており、出来ない思いを自分の小説の中
     で爆発させて行きます。次々に女性とシチュエーションを変えていきますが、
     それでも満足出来ず、遂には、自分の意のままに動くセックス・アンドロイ
     ド(ダッチワイフ)を作り、思いを遂げます。

感想  :この作品は、十三本目の『プッシー・トーク』と同じ盤に収録されています。
     これは『プッシー・トーク』以上に素晴らしい画質です。監督も同じフレデ
     リック・ランザックで、『プッシー・トーク』から4年後の79年の製作で
     す。ハードコアの表現も『プッシー・トーク』に比べて遥かに直接的になっ
     ています。その分、作品としての演出よりも映像(見せること)主体になり
     ました。次々と現れる女優は皆美人ですが、セックス・アンドロイドを演じ
     るマリリン・ヘスの美しさとキュートさが際立っています。こちらも、英語
     音声が収録されています。マリリン・ヘスの出演だけでも大推薦です。

雑談  :今回が最終回となります。人間の根底的な欲望を商業ベースに乗せて展開し
     たアメリカ・ポルノ、それらは劇場公開を前提に制作されました。しかし、
     フィルムは高価な上に再使用が出来ないため、制作作品の選択と事前準備に
     は細心の注意が払われました。その当然の結果として、質の高い作品が生ま
     れた訳です。しかし、作品制作にビデオ撮影機材を導入されるようになって
     からは、作品の質が急速に低下し、現在では、劇場用作品など作られていな
     いのではないでしょうか? その一方で、ビデオやケーブル・テレビの普及
     は作品の質より量を必要としました。それが更にビデオ撮り作品の増大を生
     み、映画というより「動くグラビア」として進化し、現在に至ったようです。
     80年代の良質な作品より、むしろフォトジェニックな女優を中心として、
     ハードな内容を徹底的に見せつけるだけの映像です。それはそれで仕方あり
     ませんが、それだけになってしまったことには、少し淋しい思いが残ります。
                                    (終)







十三本目:プッシー・トーク(推薦)

あらすじ:ある倦怠の主婦、その彼女のアソコが急に自分の意志とは無関係に下品なお
     しゃべりを始めてしまいました。どうしていいか分からず、亭主に相談して
     も相手にされない彼女はその憂さを晴らしに外出し、見知らぬ男2人と浮気
     をしますが、これもアソコの告げ口でバレてしまいます...

感想  :最後の2本はフランスものをご紹介します。あまりに有名であり、画質のよ
     いDVDが入手出来ましたので、ご紹介することにしました。このDVDに
     は短縮版(当然、肝心な部分がカットされています)のイギリス盤とハード
     コア・ロング版のフランス盤があります。決してイギリス盤には手を出さな
     いよう注意して下さい。とにかく、お馬鹿な内容ですが、見ていて飽きませ
     ん。但し、ハードコア・ロングバージョンと言っても、75年の製作ですか
     ら比較的控えめな表現で、そこを演出で補い、作品としての完成度を上げて
     います。音声はフランス語と吹替えの英語が収録されているため、英語を選
     べば見るのは楽です。画質の良さも含めて推薦です。

雑談  :ポルノ作品も、究極的な行為が同じとしても、そこから生まれるムードはど
     うしてもお国柄を反映して来るようです。例えば、アメリカ人に『愛のコリ
     ーダ』や『プッシー・トーク』のような作品を作れと言っても無理ですし、
     その逆もまた無理です。一般的な作品より、徹底的に人間的であり、その本
     能を弄ぶのがポルノ作品であれば、なお更、国民性が出ても不思議ではない
     と思います。(ですから、やっぱりトレイシー・ローズが話すフランス語に
     はどうしても違和感が拭えないのです。)
     インターネットが発達し、リージョンコードや映像方式に制約されない
     DVDプレーヤが存在する現在、アメリカやヨーロッパから作品を取寄せて
     見ることはそれ程難しいことではありませんので、皆さんも是非色々な作品
     をご覧になり、その国の香りの感じられる作品を見つけて下さい。







十二本目:カリギュラ(推薦)

あらすじ:父親を暗殺して皇帝に成り上がったカリギュラ。その根暗でいじけた性格が
     更なる悪逆と非道をエスカレートさせます。しかし、そんな彼を放置するこ
     とに危機感を持った腹心は、彼とその妻子をも処刑し、無能な男を新たな皇
     帝として据えるのであった。

感想  :この作品は、アダルト雑誌「ペントハウス」の発行元が製作した一大歴史絵
     巻とも言える映画です。主演のマルコム・マクダウェル、ピーター・オトゥ
     ール、ヘレン・ミレンといったイギリスの有名俳優を使いながら、堂々と
     ポルノを作ってしまったことに先ず驚きを感じます。もっとも、彼らの知
     らないところでポルノシーンを撮影し、編集して公開してしまったと言う話
     しも聞いたことがあります。特に、ピーター・オトゥールは激怒したとか。
     確かに、豪華絢爛な作品ではありますが、上品さは全くなく、猥雑さ、下品
     さに満ち溢れた作品です。最近は、従来の「アンレイテッド版」に更に未公
     開シーンを追加再編集した完全版DVDも発売され、この作品の勢いが未だ
     衰えていないことを示しました。必見です。

雑談  :またもや、「ビデオ・ファン」の話です。偶然ですが、この雑誌の3人のラ
     イター(高杉さん、間宮さん、宮崎さん)と出会うことが出来ました。
     高杉さんは、当時、自分で輸入ビデオと雑貨のショップを経営し、間宮さん
     も同じような「パラドクス」というお店をやっていました。その後、パラド
     クス」はボディー・ピアスを扱うようになり、日本でのこの分野の草分け的
     存在に変貌したようです。(このお店はまだあるのでしょうか?)高杉さん
     には、ここでも取上げました『カリギュラ』のLDをアメリカから2万円で
     買って来てもらった思い出があります。確か、現地では$60だったと思い
     ます。次の宮崎さんはあるお店(輸入ビデオのレンタルと販売)の店員をし
     ており、彼に『リ-アニメーター』の話しを色々聞かせて頂きました。初め
     て、コピーではない『ラスト・タンゴ・イン・パリ』の完全ノーカット版ビ
     デオを買ったのも彼のショップだったと思います。非常に真面目な方で、随
     分映画のことを教えて頂きました。これは全て今から20年近く前の東京・
     渋谷でのお話しです。







十一本目:インサイド・ジェニファー・ウエルズ(推薦)

あらすじ:ジェニファー・ウエルズが時と場所を変えながら、次々と男達を喜ばせてい
     く作品で、特にストーリーらしきものはありません。

感想  :この作品がオークションに出るたびに高値を呼んでいました。ジャケット写
     真を見る限り、ジェニファー・ウエルズはそんなに美人とも言えないのに、
     何故それ程人気があるのかいつも不思議に思っていました。しかし、実際に
     入手したDVDを見て、その理由が十分納得出来ました。とにかく、彼女の
     ツボを心得た各種の技(?)はいつも男達を桃源郷に誘ってくれます。つま
     り彼女は天使だったのですね。結局、この作品を見ている私達も映画の中の
     男達同様、彼女によって昇天させられることになります。これがこの作品の
     人気の秘密だったんですね。故に◎です。
     実は、このDVDを見て分かったのですが、私は大昔からこの作品を知って
     いたのです。しかし、タイトルをすっかり忘れていました。今回、再見して
     最初にこの作品を見た時の感想が今も全く変わらないことを確認出来ました。

雑談  :今回は「性(サガ)」について。女性のことは知りませんが、男は何故ポル
     ノを好むのでしょうか? どのような男と女が組合わされようと、所詮やる
     ことは、「舐める(吸う)こと」と「入れる(入れられる)こと」くらいしか
     ありません。ポルノが何百本作られても、極言すればこれしかないのです。
     だから、見なくてもやることは分かりきっています。それなのに次から次と
     見たくなり、DVDの枚数が増えていきます。これは一体どういうことなの
     でしょうか? 少なくとも私について言えることは、「分かってはいるけど、
     止められない。だから1回見ると飽きてしまい、次々に知らない作品に期待
     し続けてしまう」ということで、もう男(と言うより雄)の「性=スケベ根
     性」としか言いようがないのです。それでも何本かに1本は永久保存したい
     作品も見つかります。それらが今回ご紹介している作品です。


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